「仕事は需要と共有から生まれる」
どこかで聞いた言葉だけど、
大きな規模でビジネスを捉える、企業の役員クラスの人が
考えるテーマで、自分には縁が無い話だと思ってました。
それが、この本を読むと、他人事ではないと痛感します。
今回は、社会派ブロガーちきりんさんの
「マーケット感覚を身につけよう」という本を読んで
非常に面白かったので、要点を要約して、
特に印象に残った点を、僕なりの視点で解説します。
勝てる場所で戦うことの大切さ
この本では、各章の至るところに、元々無かったところに
新たなマーケットが生まれる具体例が紹介されています。
恋愛・婚活市場
例えば、若くて容姿端麗で会話が抜群に上手いイケメンでも、
20代の場合、結婚相談所に飛び込むと、安定感を重要視したり
学歴/肩書/年収などの強みが無いと、需要がありません。
彼がやるべきことは、自分の強みが最大限に生きる、
趣味で繋がるコミュニティに身を置くことなんです。
逆に、30代後半で容姿がオッサンであり、口下手な人でも、
大手企業に勤めていて年収が高い場合、この結婚相談所が
パートナーを見つける、一番適切な市場になります。
職種について
お客さんの増加に対して医者が足りていない医療業界、
ITエンジニア業界などの話は、分かりやすい一例です。
世の中の需要が多ければ多いほど、収入も上がるし、
就職もしやすくなります。
他にも、単なる需要と供給という面だけでなく、
規制に守られているかという観点も面白くて、
薬剤師などは、資格が必要で需要に対する供給も少なく
一見美味しい仕事ですが、業務内容自体は単調なので
AIに取って代わられる可能性が高い。
そういう仕事は、将来まで考えた時に
果たして美味しいマーケットなのかというと疑問です。
私達の身の回りで言えば、タクシーの運転手や
長距離輸送のトラック運転手、バスの運転手なども
同じように、技術で職種が失われる可能性があります。
能力よりも、勝てるマーケットかどうかの方が重要
私が想像する限りでは、
優秀なエンジニアやモテる人間のポテンシャルに関しては、
上には上があり、求めたらキリがありません。
その一方で、自分よりも優秀な人間の方が稼げたり
自分よりも魅力のある人が必ずしもモテるとは限らない。
それはつまり、マーケットを選択する力によって、
人生が決まってしまう要素が、非常に大きいということ。
なので、自分のやるべきことを決める際は、
自分の能力やモチベーションも確かに重要ですが、
それと同じくらい、
「自分が勝負するにふさわしい、勝てるマーケットか」
という点を、常に意識していきたいと思います。
勝てる市場を見つけたら、その現場に行くこと
ちきりんさんが仰っているのは、マーケットに気付く為には
論理だけでなく、察知したり嗅ぎ分ける嗅覚が重要であるという事。
MBAを学んできた人が、スモールビジネスの現場で
全く役に立たなかったり、的外れなことを言ってるのもこれです。
お客さんの現場に立ち、同じ目線に立って生活をしてみないと、
市場が求めていることを感覚として理解することができません。
私はボードゲームの業界に趣味でガッツリ携わっていますが、
商売をやっている人ほど、的外れなことを平気で口にします。
それは、実業の世界でやっている商売人の感覚や、
現場で実際に遊んでいるユーザーたちの感覚に
寄り添うという視点が全く無いからだと思います。
「中小企業は365日仕事をするのが当たり前です」
「年収1000万円越えるまで、起業家は遊んでる場合じゃない」
「業界の未来とかどうでもいいから、まずは
店と客のこと第一に考えてサービス改善してくれ」
こういうのは、直接言われなくても、無言の空気や
雰囲気を察知することで、伝わってくるものです。
センスのいい事業主ほど、こういう勘が冴えていますが、
現場にこだわり、嗅覚を鍛えることが、
マーケットを掴むための、非常に重要なポイントになります。
価値とは何かを考える
プロ驕られヤー
去年あたりから、Twitter上で話題になっているのが
プロ驕られヤーという、人に奢ってもらうことで
生計を立てているインフルエンサーの方です。
私は元々、クラウドファンディングや寄付の類には
あまりいい印象を持っていません。大半の人に関しては、
自分で稼いだり人に頭を下げて金を借りることから逃げ、
事業をやり抜く責任から逃げているようにしか見えないからです。
しかし、今の時代、こういった「親近感」「面白さ」に対して
お金を払う人が急速に増えているので、その感覚というのは
自分ももっと体で理解しないといけないと痛感しています。
プログラミング業界
プログラミング業界にも、能力が高い人はいくらでもいますが、
その全員が見合った収入を貰っているわけではありません。
営業を自分で出来ず、エージェントに中抜きを過剰にされたり、
不当な契約を結ばれた結果、収入が伸びていない人がいます。
また、扱う言語やフロントエンドバックエンドの違いでも
需要にマッチせず、努力量の割に成果に反映されていない、
そんなエンジニアの方も、いくらでも存在します。
また、最近では、プログラミングの知識をYoutubeやブログで
公開し、教材を販売することで収入を伸ばしている人もおり、
プログラミング技術がツール化している側面もあります。
中にはそれを邪道だ!俺の方が技術力は高いという声もありますが
この辺りをうまくやるのが、マーケット感覚に他ならないでしょう。
ウェブカツ代表のかずきちさんは、競合の品質の低いサービスを
クソ教材・クソ発信者だとDISることによって、空いたポジションを
確保しており、これもまた一つのマーケットだと言えます。
いずれにしても、人と同じことを猿真似してやったり
自分から競争の多いブルーオーシャンに突っ込むのは
愚の骨頂だと思いますので、マーケット感覚を身につけて
自分だけの空いた椅子を探すようにしましょう!
見えない価値に気付く力
最後に紹介しておきたい、ちきりんさんのメソッドは、
マーケット感覚を身につけるにあたっては、
「見えない価値に気付く力」が非常に重要だということです。
自分にとっての価値
例えば、プログラミングのスクールは、当然ながら、
プログラミングを本気で学びたい人以外には価値がありません。
もし一ヶ月前に僕が同じ状況に置かれていたら、
プレステ4に払う3万円の方が価値が高かったと思います。
同じように、学生時代ならiphoneに価値を感じたと思うし、
僕がPerfume推しだったらファンクラブやチケット代を
何よりも優先するかもしれません。
チケットと言えば、
最近嵐の引退報道が話題になってますが、
もし引退ドームツアーがあるとしたら、
30万払う人もいるかもしれない。
美容院の担当者がアイドルが大好きで
追っかけをしていたという話を聞いたことがあるのですが、
あの属性の方は本当に熱狂的で、全国のドームツアーを
渡り歩くコアファンも多いらしいです。
なので、もし他人に理解をされなかったとしても、
ちきりんさんの言う通り「自分にとっての価値があるのか」
ということを重視して考えるようにしましょう。
世間の声や報道の圧力で、35年ローンを組んだり
アホみたいに高い車なんて買っても、あなたの心が
それに価値を感じてなきゃ、ただの無駄遣いです。
そう思えなきゃ、一生自己投資なんかできませんし、
人生を変えるインパクトのあることに
お金なんか使えるようになりませんよ。
まとめ
私がこの本で学んだことは、
・勝てる場所で戦うことの大切さ
・価値とは何か
・見えない価値に気付く力
の三点です。
見解としては、要約すると上記の通り
・勝てる市場の現場に行って嗅覚を磨く
・今の時代特有の価値とは何かに敏感になる
・他人や世間の声ではなく「自分にとっての価値」を基準にする
という風に考えています。
具体的に、今後の生活に転用するにあたっては、
現在、プログラミングを勉強しているので
ただのプログラミング馬鹿になるのではなく、
これを何と掛け合わせて空いた椅子を取れるのか
しっかり見定めることが重要だと思っています。
そして、今の時代特有の価値に寛容になれるよう、
時代遅れの中年オヤジにならない為に、
最近話題になっている人の発信を読んだり、
若い世代の人と積極的に絡んでいきたいと思います。
ちきりんさん、読み応えのある本をありがとうございました!
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