実家を継ぐべきか?自営業の場合のメリット・デメリット

親が定年やその前後の年齢になると、
家業を潰すか、誰かに継いでもらって
継続するかを考える時期になります。

ひと昔前の世代では、その家の長男が
家業を継ぐのが当たり前という風潮もありました。

しかし、時代は変わり、家を継がない、
家業を継がないという決断をする人も増加しています。

継続をさせたい親、潰してもいいと思う親、
継ごうかどうか悩んでいる長男などの息子達。
それぞれ、様々な苦悩や考えるポイントがあります。

この記事では、実家の家業である自営業を
継ぐことについて、解説していきたいと思います。

目次

実家を継ぐ際の自営業の内容のモデルケース

今でこそサラリーマンが大多数を占める世の中ですが、
私の親世代には、自営業の商売人がたくさんいました。

地元の商店街にも、

・八百屋
・釣り具屋
・花屋
・精肉店
・中華料理屋
・本屋
・布団屋
・電化製品屋
・ゲーム販売店
・クリーニング店
・飲食店
・薬局

などがありましたが、すべて自営業です。

スーパーマーケットも点在する程度でしたし、
ドラッグストアのチェーン店もありません。

それが、大型スーパーの地方への大量出店、
コンビニやドラッグストアの日用品販売、
楽天やAmazonによるネット販売の台頭によって
商店街の自営業は、軒並み廃業していきました。

僕らの同世代で、実家の自営業を継ぐかどうかで
悩んでいるモデルケースとしては、上記に加え、

・建築/建材販売の会社
・不用品回収やリサイクルショップの会社経営
・地域に特化した個人経営のスーパー
・伝統工芸の職人
・実家で経営する旅館
・アフィリエイト創世記から運営が続くサイト管理業

などが挙げられます。

自営業の実家を継ぐメリット

会社員と比較した場合、
自営業の一番のメリットは、何よりも「自由」な事です。

しっかり利益を挙げ、法律に違反をしない限り、
いつ誰と何の仕事をするのか、全部が自由です。
あらゆることに、自分の選択権があります。

そして世間では「起業=成功率3%、10%」と煽られてますが、
自営業による独立というのは、6割7割くらいの人は成功します。
別に何一つ難しくありません。

何故なら、労働集約的な仕事は、形や業種こそ変われど、
社会にいつの時代も無限に存在しているからです。

しかし、独立して数年は何となく楽しいのですが、
受託の仕事ばかりしてると、実質的に会社員の仕事と変わりません。

その上、正社員よりも確実に重要度の低い仕事が回されるので
単なる下請けの労働集約的な仕事、時間の切り売りになります。

結果、数年で飽きるし、スキルは成長しないし、
体力が40代50代になって低下すれば、
いずれ確実に食えなくなります。

冒頭の成功率10%と言われる
「起業家」「経営」のステージに到達する、
いわゆる固定給で人を雇う段階に到達する為には

・自営業で代表一人で年間粗利1200万円を稼げる力
・雇った人間が稼げない間も食い扶持を保証できる覚悟

これらを満たすことが、必ず必要になります。

つまり、商売をこれから60歳70歳まで続けると決めたら、
自営業として同じビジネスを延々と続けるのではなく、
常に成長をし続けるという姿勢が必ず必要だということです。

まず、その意志が自分にあるかどうか考えてみてください。

自営業の実家を継ぐデメリット

今まで会社員をやってきた人には特に言いたいですが、
自営業を含め、自分で事業をすることになった場合、
鍛える筋肉の場所みたいなものが、全く違います。

スポーツに例えると、会社員の場合ってのは
ルールが整備されたサッカーや野球などの団体競技、

自営業の場合は、1対1の個人戦で、凶器や用心棒さえ
使わなければ、例えどんな手を使ってもいいので
目の前の相手を倒す路上の喧嘩バトル

と言っても過言ではない違いがあります。

会社員の場合は、強い組織の中で動いていれば
多少はミスをしてもチーム全体がカバーしてくれるし、
何かしらの指導や教育もしれくれるし、給料も入ってくる。

でも、そんな人が路上の喧嘩バトルの世界に入ろうと思ったら、
とにかく何でもいいので一つだけでも必殺技を手に入れないと
喧嘩で勝つ(現金を手に入れる)ことはできません。

なので、何か専門的なスキルを今の仕事や過去の仕事で
持っていたとしても、現実的に何か目の前で金を稼げないと
過去の別のスポーツで得た実績や栄功は、通用しません。

学歴とか社歴とか、〇〇でMVP取ったとか
MBA持ってるとか、マジで何の役にも立ちませんから。

あなたは、会社員という立場を失った時、
自分の身体と脳味噌ひとつで、何ができますか?
一日で数万円、金を稼げますか?

そういったものが「自営業=路上の格闘技」の強さの指標です。

自営業の実家を継ぐか継がないか 私の考え

自分がどんな人間になりたいのか、何をやりたいのかを考える

私は家業を継いでくれと言われたことはありませんが、
仮に継いでほしいと頼まれる状況や事業内容だったとしても、
継がない選択をしていると思います。

理由は大きく二つあって、
・自分のやりたい仕事ではないこと
・自分がなりたい人物像に繋がる仕事ではないこと
の二つに当てはまるからです。

僕の場合、自分のやる仕事を考える上での基準に

・他人に振り回されたり主導権を握られる仕事はやらない

・人や社会と直接人対人で関わる生き方ではなく、
自分が生み出した仕事の成果物やサービスを通じて、
間接的に社会との接点を持ちたい

というものがあります。

例えば、過去に短期間、ホームページの作成や
WEBデザインの仕事を請けたことがありますが、
結局、人から業務委託を受ける形の場合、納期もお金も
完成物の出来栄えも、全て発注者のさじ加減ひとつで
どうにでもなってしまうことをやっていて感じ、

いずれどんなに金を積まれても、
それを楽しい、生き甲斐だと思える気概が生まれない限り、
自分は人に振り回される仕事はしたくないと感じました。

また、父は30年間、仕事の愚痴を僕らに漏らしたことは
一度もありませんが、親会社から仕事を発注される
業務委託という形で、きっと辛いことも沢山あったと思います。

休日には山を越えてゴルフにもよく通ってましたし、
納期が近づくと徹夜の日も何度か見かけました。

自営業という立場上、人を抱えてもっと大きな規模で
商売をする人達や、普通に会社員をしている人達に
舐められたりすることだって、あったかもしれません。

それでも、30年間仕事を全うし、
育ててくれたことには本当に感謝しています。

ただ、やはり一番優先するべきは
まずは自分が幸せになることだと思っており、
多くの親は、多かれ少なかれ、望んでいることだと思います。

よって、家業を継ぐか継がないかで悩んだ時は、

「お前は何がやりたいのか?」
「お前はどんな人になりたいのか?」

という問いに、今一度立ち返ってみることをお勧めします。

親の真意を考える

父は、私や弟に対して自営業で同じことをしてほしい、
という趣旨のことは一度も言ってきたことはありません。

逆に「いい学校に行き、いい会社に就職したほうが幸せになれる」
ということを事ある毎にずっと僕や弟に語り続けてきました。

それはやはり、自営業特有の前述したデメリットの部分を感じ、
僕らに同じような思いをさせたくなかったからだと思います。

しかし、何度も帰省して実家で話をしていると、
自営業を継ぐという話は無くとも、家に帰ってきてほしい、
そしたらきっと、毎日楽しいだろうなという願望を
父の様子から、感じるようになりました。

実家に戻るかどうかという悩みにも共通する点ですが、
関わる人全員を100%幸せにする選択肢は有り得ません。
何かを優先する際には、誰かを傷つけることが必ずあります。

相手の言葉の字面や無言というメッセージを
そのまま受け取るのではなく、その裏にある
相手の気持ちを推し量る視点を持つことをお勧めします。

事業の将来性を考える

僕らの世代以下は、親の生きた世代とは
全く違うルールの世界を生きています。

そして、これからも加速度的に
世の中のルールが一気に変わっていきます。

親の時代にうまくいった商売を
そのまま継承してうまくいく保証はありません。

僕は数年間せどりをやってきましたが、
物を右から左に流して機能的価値で差益を産む商売は、
向こう10-15年で、成立しなくなる時代が必ず来ます。

店舗の小売商売も、単純に物を売るだけだと
大型スーパー、ネット販売、コンビニやイオン等に
マンパワーと金で絶対に勝てません。

今、私の周りでフリーランスをしている人は

・WEBデザイナー
・プログラマー
・アフィリエイター
・投資家
・動画制作者、Youtuber

などがいますが、今後生まれる仕事の大半は、
親の世代には成立しなかった仕事になります。

親や創業者の意志を継ぐのは
素晴らしいことかもしれませんが、
商売である以上、絶対に負けることは許されません。

どんなことがあってもこれで飯を食っていく
人生を切り開いていかなければいけない
だから、敗北が許されるはずが無いんです。

実家で都合としている仕事は、
その手段として、適切なものなのか?
これから成長していく余地はあるのか?

そこをしっかり見定める視点を持ってください

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この記事を書いた人

ハイジ/清瀬灰二のアバター ハイジ/清瀬灰二 地元と世界を繋ぐ長男

1986年生まれ。静岡県出身。
新卒入社の大企業→中小企業→個人事業主→破産→日雇い→二度目の起業まで、一通り全部見てきて修羅場を味わった経験を元に、実家暮らし・地域ビジネス・副業・趣味に関する発信を行っています。

横浜DeNAベイスターズ応援歴24年。

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