実家の相続を放棄する方法とは?かかる費用や手続きを紹介

実家を相続せずに放棄しようと考える主なケースは、
両親の死後、そこに誰も住む予定が無い場合です。

通常であれば、そういった場合はいきなりの放棄ではなく、
まず売却をして、財産を現金で分割することを考えます。

しかし、実家が田舎にあったり、需要が少ない土地で
買い手がつかない場合などは、取り壊しをするにしても
その工事費用で赤字になってしまうことがあります。

また、相続対象の土地や建物に価値があったとしても、
銀行や取引先から借金があった場合、それらもまとめて
相続をしないといけない為、全体でマイナスになる際は
相続を放棄した方が得になるケースもあります。

あとは、相続をした際に発生する
相続税を現金で支払う能力が無いという場合や、
固定資産税や修繕維持費用を払ってまで
実家を維持したくないという場合もあります。

そういった理由から、「実家の相続を放棄する」という
選択肢が挙がってくるのです。

統計上、年間で約20万件の相続放棄が全国で起きていますが、
その理由の大半が「遺産の中に負債がある」という点です。
(出典元:裁判所「司法統計」)

この記事では、実家の相続を放棄する際に、
どのくらいの費用がかかるのか、
具体的にどのような手順を踏むのかを解説していきます。

・実家の相続を放棄する際の注意点

・実家の相続を放棄するための手続き

・実家の相続を放棄するための費用

目次

実家の相続を放棄する際の注意点

相続放棄には期限があり、相続の開始があったことを知った
翌日から3カ月以内に行う必要があります。

「相続の開始があったことを知る」という解釈は、
法律上は「死亡したことを知った日」となっていますが、

・死亡の事実を知らず葬儀に参加しなかったなどの理由で、
遠縁で遺族からの葉書の通知により知った

・市区町村の役所から、全く連絡の無かった親族が
相続対象の実家があると突然連絡してきた

という場合は、その時点で日数の起算がスタートします。

そもそも、相続には3種類あり、

・単純承認:全財産と全負債を相続する
・限定承認:相続財産を超えた借金は相続しない(負担しない)
・相続放棄:相続人としての立場そのものを放棄する

相続の対象になる人は、これらの内、
どの立場を選ぶかを決める必要があります。

単純承認の場合は、何も申請をする必要はありませんが、
限定承認と相続放棄の場合は、家庭裁判所の手続きが必要です。

期限を過ぎた場合は、強制的に単純承認になってしまう為、
実家を相続したくない場合は、必ず期限内に手続きをしましょう。

限定承認を選ぶか相続放棄を選ぶかの基準としては、

「現在は相続される資産が負債よりも上回っているが、
被相続人から相続される財産の得体が分からないので、
後から莫大な負債が見つかり相続対象になるかもしれない」

という可能性のリスクを抑えるかどうかになります。

負債が上回った場合は、その負債を支払うリスクが無く、
資産が上回った場合は、単純承認と同じく、相続税を払った上で
その資産を同様に受け取れるという点で、限定承認は
被相続人に対して、非常に有利な条件になっています。

実家の相続を放棄するための手続き

実家の相続を放棄するための手続きは、大きく二つです。

1.財産調査
2.家庭裁判所にて陳述書の作成・提出

まず、財産調査については、

・不動産(土地、建物)
・金融資産(現金、株、貯金、投資信託)
・無形財産(著作権、特許権、商標権)
・その他(生命保険、何かの資格や会員権)

負債に関しても
・借金(各種ローン、キャッシング)
・連帯保証契約の有無
・未払いの税金
・その他売掛金(クレジットカード、店や病院のツケ払い)

これらが無いかを、ひとつひとつ確認していきます。

相続に関わるものとして、
最優先に確認すべきは不動産と金融資産です。

理由は、金額が大きく、売却や処分が難しいものほど
相続の話し合いや相続税の支払いへの影響が大きいからです。

・負債が資産を大きく上回る場合
・より大きな負債が発生する可能性が大きい場合
・相続税の支払が厳しい、もしくは支払う金の調達が見込めない場合

こういった場合に、相続放棄の手続きを検討することになります。

実家の相続の放棄は、家庭裁判所に本人が申告を行います。
相続人が未成年または成年後見人の場合、法定代理人が代行します。

ただ、例えば父親が亡くなってその妻と子が相続対象になった場合、
子供が未成年の場合は、妻が子の代理人になると、親の都合が良いように
子供の相続放棄の申告内容を誘導してしまう可能性がある為、
第三者を代理人に選ぶ必要があります。

(一般的に、親が子供に借金を負わせたくないという理由で
子供に相続放棄をさせるのはごく自然なことではあります。

しかし「資産の相続」という本来の形式的なやりとりにおいて、
子供にだけ相続放棄させるのは、親が相続の取り分を増やすために
意図的に放棄をさせる、利益相反になるという見方もできる為)

また、特別な例として、親とその子供全員が同時に相続放棄をする際は
第三者の代理人を用意することなく、相続放棄の手続きを実行できます。

実家の相続を放棄するための費用

実家の相続を放棄するために必要な費用は、以下の通りです。

・収入印紙代 800円
・戸籍謄本代 450円
・被相続人の戸籍謄本、改製原戸籍謄本 750円
・申述人の戸籍謄本 450円
・被相続人の住民票 300円

また、弁護士や司法書士に手続きを依頼する場合は
主に以下のような相場で、追加の費用がかかってきます。

・相続放棄申述書作成:約5000円
・相談料:1時間あたり約5000円
・一連の手続きの代行手数料:約3万円
・戸籍謄本の取得など:実費(交通費、取得費用)

専門家に頼むかどうかは、費用を負担できるか否か、
相続放棄をするかの判断が難しいかどうか次第である為、
状況を踏まえて、ご検討ください。

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この記事を書いた人

ハイジ/清瀬灰二のアバター ハイジ/清瀬灰二 地元と世界を繋ぐ長男

1986年生まれ。静岡県出身。
新卒入社の大企業→中小企業→個人事業主→破産→日雇い→二度目の起業まで、一通り全部見てきて修羅場を味わった経験を元に、実家暮らし・地域ビジネス・副業・趣味に関する発信を行っています。

横浜DeNAベイスターズ応援歴24年。

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