実家の離れに新築を建てる際の注意点とは?

実家の敷地内に離れを作り、そこに親夫婦や
自分たちが移り住んだり、趣味の部屋を作ったり、
介護用の部屋にするというケースが増えています。

最近は、プレハブ型の小さな家、加工済みの建材で
比較的安く簡単に作れる工法もあることから、
それほど無理のない価格で建てることができます。

しかし、家に含まれる設備の条件によっては
建築基準法の確認、敷地の分割など
役所への届けや様々な手続きが必要になり、
建築士に相談が必要な場面も少なくありません。

この記事では、そんな実家の離れを
新築することについて解説していきます。

目次

実家の離れに新築を建てる理由とは

実家の離れに新築で家を建てたいと思う人の動機は
人や家庭によって様々です。

・親の持つ実家を長男の兄が継ぐことになった為、
結婚して子供ができると同居してもお互い気を遣うので
近い場所に別の家を建てて住み替えたい

・実家で仕事をしているけど、自宅では集中できないので
建物を隣接して完全に事務所用として建物を使いたい

・本が好きで何百冊も読んだ本を保管しておきたいので、
書斎用の部屋を作り、趣味のアイテムも置いておきたい

・普段は千葉で働き、夫と娘と共に暮らしているけど、
地元に別荘のような小さな家を建てて、年に数回帰る時に
寝床や拠点として使いたい

今は、地元を離れて都市部で仕事をしたり
住居を構えている人も多いので、実家も単に移住したり
Uターンする以外に、様々な土地の使われ方が
検討されることが、今後も増えていくと考えられます。

実家の離れに新築を建てる際の注意点

法律的に、建てられるかどうかを確認する

一般の建築メーカーにおける離れの定義は
「一家族が居住できる条件を満たさない建物」
具体的には、居室、キッチン、風呂、トイレのうち
ひとつでも無い建物のことを指します。

人の解釈によっては、実家と物理的に
離れている小屋を”離れ”と呼ぶ人もいますが
厳密な”離れ”の定義は、法律では決まっていません。

ただ、いずれの場合でも、建築基準法第一条の規定で、
一つの敷地に対しては一つの家しか
建てることができないという決まりがあります。

条文の原文をそのまま引用すると、家とは

「敷地 一の建築物 または
不可分の関係にある二以上の建築物のある
一団の土地をいう」

この「不可分の関係にある二以上の建築物」とは、
1と2の建物が、互いを失うと存在成し得ない、
という関係のことで、

例えば飲食店と厨房の関係、
銀行と金庫の関係もこれに当てはまります。

離れに関して当てはめると、冒頭の
「キッチン・トイレ・浴室・居室」が
全部揃っていれば家(住宅)、

全部揃っていなければ”離れ”と扱われます。

つまり、用途上可分の建築物
=居室+水回り3点セット が全て揃っている場合、
小さな建物でも別の住宅とみなされてしまい、
ひとつの敷地の中には建てられないことが多くなります。

その為、どうしても自分の持つ土地の中に
離れではない家を建てたい場合、敷地の分割や
分筆という手続きが必要になります。

※自治体によっては浴槽が不要というところもあるので、
必ず建築士などの専門家に相談するのをお勧めします

離れを建てる場合の3つの規制

そのほかにも、離れを建てるにあたっては
様々な規制をクリアする必要があり、
ここでは概要のみ、簡潔に紹介します。

接道義務(建築基準法43条)

建築物の敷地は、幅が4メートル以上の道路に
2メートル以上接しなければならないと規定があり、
敷地を分割や分筆する時には、新しく作る敷地が
両方ともこの接道義務を満たしていなくてはいけません。

しかし、離れを同一敷地内に作る場合は、
用途上不可分の建物であることから、
新しい敷地を作る必要はないので無視できます。

建ぺい率/容積率

敷地内に建てる建物は、建ぺい率と容積率が
決められています。

・建ぺい率:敷地面積に対する、実際の建築面積の割合
・容積率:敷地面積に対する、建築の床総面積の割合

この数字は、

元々ある実家と同じ敷地内に建てる場合は、
実家+離れの合計建築面積が
その敷地の建ぺい率を越えてはいけません。

同様に、容積率についても、
実家+離れの合計床総面積が
その敷地の容積率を越えてはいけません。

両方とも、都市計画に基づく数字が
自治体毎に決められている為、確認が必要になります。

延焼ライン

防火地域・準防火地域では、住宅も離れもすべて、
延長ラインより外側にある窓を防火窓にする必要があります。

実家と離れが同じ敷地にある場合は
元々の敷地に延焼ラインが適用されますが、
実家と別々の敷地に建物を作る場合は、
それぞれの敷地に個別の延焼ラインが設定されます。

ちなみに、各用語を補足すると

・延焼ライン:
延焼で燃え移ることを防止するために
建物を設置する際に設定する、隣の建物や
道路から保たれる一定の距離間隔基準

・防火地域:
都市計画法という法律で規定されている、
火災の危険を排除するために設定する特定地域。
建物の広さなどの条件毎に「耐火建築物化が必須」
など、さまざまな規制を設けている。

という意味になります。

実家の離れを建てた場合の固定資産税

実家の離れを建てた場合に
新たに建物に対してかかる固定資産税は、
固定資産評価額に対して税率1.4%をかけた金額になります。

例えば、木造建築の場合は、
工事費の4割程度の金額に1.4%をかけた程度が標準的であり、
工事費が2000万円かかったとすると、

2000×0.4×0.014=11.2

となり、年間の固定資産税は11万円ほどになります。

また、一部の自治体では、
都市計画税という税金が0.3%加算されます。

こちらが課税されるのは、市街化区域と呼ばれる
都市部の地域で、田舎の地域と比べるとその利便性を
多く享受しているという理由から、その地域に住む人に
より多く課税をしているという意味合いがあります。

ただ、地方に行けば行くほど、固定資産税が
貴重な財源の為、課税標準額となる固定資産評価額が
高く設定されている自治体もあるので、
一概に田舎の固定資産税が安いとも言い切れません。

私の実家は人口3000人程度の町で、
周辺の市区町村も市街化区域には該当していませんが、
地方都市、政令指定都市や関東圏に入ってくると
課税対象になってきます。

知りたい場合は自治体の役所のホームページを見るか、
直接電話などで確認をするようにしてください。

まとめ

以上を読んで頂くと分かるように、
実家の離れの新築をする際は、私たちが考える以上に
様々な法律の規制を満たして、初めて工事ができます。

その為、自分で知識を学ぶことも確かに重要ですが、
まずは建築士に相談をして、望む建物が建てられるのか、
必ず相談をしてから検討をするようにしてください。

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この記事を書いた人

ハイジ/清瀬灰二のアバター ハイジ/清瀬灰二 地元と世界を繋ぐ長男

1986年生まれ。静岡県出身。
新卒入社の大企業→中小企業→個人事業主→破産→日雇い→二度目の起業まで、一通り全部見てきて修羅場を味わった経験を元に、実家暮らし・地域ビジネス・副業・趣味に関する発信を行っています。

横浜DeNAベイスターズ応援歴24年。

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